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発酵の基礎知識

さまざまな発酵食品とその菌~あなたにとって食べやすいものはどれ?

2020.11.30

<目次>

日本食によく使われる発酵食品に含まれている「麹菌」
ビールやパンも発酵食品! そこに含まれる「酵母菌」
チーズなどのおなじみの発酵食品に関わる「乳酸菌」
そもそも「発酵」とは、「発酵食品」とは
発酵と腐敗はなにがちがうのか
発酵食品はいつから食べられていたのか
おいしく健康に 発酵食品リスト
まだまだある、世界の発酵食品リスト
まとめ

発酵食品は体に良いと言われていますが、好き嫌いの多いものでもあります。また、そこに含まれている「菌」も、発酵食品ごとに異なります。

ここでは、発酵食品に含まれている菌の特徴と、その摂取の方法を紹介します。

日本食によく使われる発酵食品に含まれている「麹菌」

日本食には、よく「麹(こうじ)菌」を含んだ食べ物が用いられます。麹菌は微生物の一種であり、カビに分類されるものですが、人間にとって非常に有用なものです。まだ微生物のことが知られる前から、麹菌を使った食材は私たち日本人の食卓に上っていました。

麹菌は腸内環境を整えることを期待できるものとして、昔から注目されていました。また、美肌に導く作用も見込めるとされています。

麹菌を含むものとして、味噌(みそ)や醤油(しょうゆ)が挙げられます。調味料であり、また和食づくりに欠かすことのできないこの2つは、私たちの食卓を彩ってくれます。

味噌を使った料理の中で、やはり代表的なのは「みそ汁」でしょう。誰にとってもなじみ深いものであり、小学校の家庭科の授業で作ったことのある人も多いのではないでしょうか。

また、醤油はそのままお刺身などにつけて食べることが多いのですが、煮物の調味料として活躍させたり、炒め物に使ったりもされます。味噌と醤油を合わせて、魚を焼くときの調味料として使われることもあります。

日本人にとって、麹菌はもっとも親しみやすい発酵食品の菌だと言えるでしょう。

ビールやパンも発酵食品! そこに含まれる「酵母菌」

ビールやパンも、実は「発酵食品」のうちの1つです。これには酵母菌が入っており、さまざまな健康への効果が得られると言われています。ビール酵母の持っているビール酵母細胞壁をネズミに与えたところ、lgA抗体量(病原菌などに対抗する力)が増加し、免疫力が高まったという研究結果も出ています。

また、動物実験ではありますが、ビール酵母から抽出したエキスをマウスに与えたところ、疲労回復が期待できるとするデータも確認されています。

さて、さまざまな健康への効果を有していると考えられているこれらの酵母菌は、上でも挙げたように、ビールやパンに含まれています。
市販のビールの多くはろ過されて酵母菌が取り除かれています。酵母菌を摂り入れるなら無ろ過ビールがおすすめです。

味噌や醤油といったものは日本人にとっては非常になじみ深いものではありますが、日本食をそれほど好きではない人にとっては、少々取りにくいものであることも事実です。そのような場合は、これらを使って発酵食品の働きを得るとよいでしょう。

これらは「調理」をすることなく、簡単に摂取できるのも魅力です。

チーズなどのおなじみの発酵食品に関わる「乳酸菌」

もうひとつ取り上げたいのが、「乳酸菌」です。発酵食品に含まれる菌の中でも、最も知名度が高いもののうちの1つでしょう。

乳酸菌は、乳製品に多く含まれています。乳酸菌には腸内環境を整えることも見込めますし、乳幼児の食べ物によるアレルギー症状の軽減作用もあるのではないかと言われています。加えて、一部の下痢(ロタウイルスによるものなど)に対しても効果があるのではないかという研究データも挙げられています。

乳酸菌は乳製品全般からとることができますが、牛乳よりも栄養価が高いものとして「チーズ」があります。ナチュラルチーズも、日本で多くの種類が販売されるようになりました。

ただ、チーズはさまざまな種類があり、「食べやすいもの」「食べにくいもの」があるのも事実です。まだチーズに慣れていない人の場合は、カマンベールやエメンタール、チェダーチーズなどが、くせがなくて食べやすいでしょう。逆にチーズに慣れている人ならば、ゴルゴンゾーラ・ピカンテやシェーヴル、あるいはウォッシュチーズなどのように個性のあるものの方が楽しく食べられます。

そもそも「発酵」とは、「発酵食品」とは

そもそも発酵とは何なのか、日々の食生活で発酵食品を楽しむにあたり、本記事では発酵の基礎知識についても触れていきたいと思います。

発酵とは、上に挙げたような菌(微生物)が食品に働きかけて起こす化学反応のことを言います。微生物としては、自分たちにとって必要なエネルギーを生み出すために行っているだけのことなのですが、この微生物の働きのおかげで、私たち人間は、味わい深い発酵食品を口にできているのです。

では、発酵とは、いったいどういうプロセスを踏むと起こるのでしょう?

食品が発酵するメカニズムは、原料や菌の種類によって異なります。たとえば、ワインの場合は単純に言ってしまうとひとつのプロセスで完結します。原料のブドウに糖分が含まれており、これを酵母がアルコールに変え、お酒になります。

ビールやウイスキーを作る場合は、2段階です。原料の大麦のデンプンが主な材料ですが、そのままでは発酵させることができません。まずはデンプンを、麦芽に含まれる酵素がブドウ糖に分解します。その後、酵母がブドウ糖をアルコール発酵させてお酒に変えます。

つまり、シンプルにすると、下記のようになります。

① 酵素が、デンプンを分解してブドウ糖にする
② 酵母が、このブドウ糖をさらに分解して、お酒に変える(発酵する)

日本酒やみそ、醤油をつくる過程では、並行複発酵というプロセスを踏みます。ひとつの容器のなかで、①と②、「麹に含まれる酵素によるデンプンの分解」と「酵母によるアルコール発酵、乳酸菌による乳酸発酵」が同時進行で行われるのです。

発酵と腐敗はなにがちがうのか

発酵に関わる代表的な微生物は、大きく分類すると3種類あります。上に挙げた麹菌・酵母菌・乳酸菌もここに含まれます。

① カビ(麹菌、アオカビなど)
② 細菌(乳酸菌、納豆菌、酢酸菌など)
③ 酵母菌(パン酵母、清酒酵母、ビール酵母など)

「カビ」や「菌」と聞くと、腐っているものや食中毒、病気……など悪いイメージしがちですよね。微生物の働きによって、食品は腐ることもありますから。では、発酵と腐敗の違いとは、何なのでしょう。それは、その結果が人間にとって好ましく有用なものを「発酵」、不快で有害となるものを「腐敗」と呼んでいるだけの違いなのだとか。「発酵」か「腐敗」かをジャッジしているのは、あくまで人間の主観なのです。

発酵食品はいつから食べられていたのか

発酵食品のルーツは、自然発生した発酵物を、人が偶然に発見したものだと考えられています。諸説ありますが、初めに生まれた発酵食品は、酒か発酵乳だとか。酒の始まりは、はちみつに水を混ぜて発酵させたはちみつ酒(ミード)や、ブドウなどの果実を皮ごとつぶして酵母によって発酵させた果実酒などと言われています。

また、中央アジアの草原の遊牧民たちは、約6000年前から家畜の乳を食生活に利用してきました。彼らは、搾った乳が発酵して乳酸飲料やヨーグルトのようなものに変化することを、偶然に発見したと考えられています。

パンも、発酵食品のひとつ。 紀元前4000~3000年頃には、古代エジプトで発酵パンが作られていたと言われています。調味料の歴史も古く、中国では紀元前7世紀頃に「ひしお」と呼ばれる発酵調味料が作られ、やがて日本に伝わり、しょうゆへと発展しました。古代ローマでは、紀元前1世紀頃に、魚介類を使った発酵調味料である「魚醤」に近いものを利用されていたことが、文献より判明しています。

このように世界中で発展してきた発酵食品ですが、そのメカニズムが明らかになったのは近代以降のこと。19世紀半ばに、フランスの細菌学者パスツールが「発酵に微生物の働きが関与している」ことを発表するまでは、人類は経験と探究心によって発酵の技術を身につけ、豊かな食文化を育んでいたのです。

日本の発酵食品の最も古い記録は、奈良時代に遡ります。当時は瓜を塩漬けにして食べていたという文献があり、平安時代になると、野菜を酒粕や酢に漬けて食していたという記録もあります。(※1)
※1 斎藤勝裕 著『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』(ペレ出版刊)P.16

日本は、味噌やしょうゆ、日本酒など、麹菌による発酵食品に恵まれています。その理由は、温暖湿潤な気候によるもの。日本の「国菌」に認定されている麹菌のような、安全で有用なカビが繁殖しやすいからこそ、日本では多くの発酵食品が愛されているのです。

おいしく健康に 発酵食品リスト

発酵食品は、食事に彩りを添えるだけでなく、さまざまな健康効果ももたらします。ご自身にぴったりの発酵食品を見つけるための、発酵食品リストをご紹介します。

【味噌】体の組織が正常に機能する上で欠かせない必須脂肪酸であるリノール酸を含みます。また大豆に含まれるレシチンにはコレステロール値の上昇を抑制する効果があります。

【納豆】納豆菌が腸内で悪玉菌の繁殖を防ぐため、高い整腸作用が期待できます。また、納豆には肌の水分量を保つ効果があり、納豆菌に含まれるポリアミンという老化防止成分が含まれており、アンチエイジングも期待ができます。

【酢】酢の酢酸は、酒に酢酸菌が繁殖してできたもの。疲労回復、食欲増進、便秘解消。また、食品からカルシウムを溶出させて骨への吸収を高めるため、骨粗しょう症予防にも効果があると言われています。そのほか、血圧降下や血糖値上昇抑制、ビタミンCの破壊防止も。

【キムチ】キムチに含まれる乳酸菌は整腸効果があり、また腸の調子は免疫の状態を左右するので免疫力向上にも繋がります。また、カプサイシンが代謝を上げる効果があり、ダイエット効果が期待できます。

【ぬか漬け】ぬか漬けには植物性乳酸菌が豊富に含まれており整腸効果があります。また抗ガン作用、糖尿病の改善、抑うつ症状の軽減、乾燥肌の改善など様々な効果が期待できます。

【ヨーグルト】ヨーグルトに含まれる乳酸や酢酸は腸を刺激するので整腸効果があります。腸内の善玉菌を増やす働きがあり、免疫細胞が活発になることが期待できます。

【日本酒・甘酒】日本酒に含まれるコウジ酸がメラニン色素を抑える働きがあるので、美白効果が期待できます。また、日本酒に含まれるアミノ酸が疲労回復にも役立ちます。

まだまだある、世界の発酵食品リスト

このほかにも、発酵食品は数多く存在します。上記のものを含め、ジャンル別にリストアップしてみましょう。何によって発酵したかについても記します。

酒類

【日本酒】米(蒸米)と米麹と水を原料とし、アルコール発酵させたもの。

【甘酒】米と米麹を原料とする飲料(酒粕が原料のものも)。豊富に栄養素を含むことから“飲む点滴”とも呼ばれる。

【みき】(※2)奄美群島や沖縄県で伝統的に作られている飲料。神にささげるお酒の「お神酒(おみき)」が語源。もともとは口噛み酒で、今も豊年祭などで振る舞われているが、現在の「みき」は、うるち米や麦、砂糖などを原料にした乳酸飲料。
※2 斎藤勝裕 著『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』(ペレ出版刊)P.28

調味料

【しょうゆ】大豆と小麦を麹菌で発酵させたもの。

【米酢】蒸した米と米麹が主な原料。酢酸菌による発酵。

【本みりん】米麹に、蒸したもち米やアルコールを加えて仕込む。

【塩麹】米麹と塩、水から作られる。塩味をつけるだけでなく食材のうまみもアップさせる。

【三五八漬け】会津地方に伝わる漬け床。塩と米麹と米を、3対5対8の割合で混ぜたもの

【いかなご醤油】香川県で作られている魚醤。イカナゴという魚を塩漬けにして出た魚醤の一種。

【しょっつる】秋田県で作られる魚醤。ハタハタなどに塩を加え、一年以上熟成させて作ります。日本三代魚醤として古くから親しまれています。

【いしり、いしる】石川県の能登で作られる伝統的な魚醤。真イカの内臓を使ったものが「いしり」、イワシやサバなどを主な原料とするものが「いしる」。

【かんずり】世界でも珍しい、唐辛子を使った発酵食品。塩漬けにした唐辛子を、米麹と一緒に4年ほど発酵させる。鍋の薬味や料理の隠し味として使われる。

水産発酵食品

【かつおぶし】カツオを原料とした魚の乾物。熟成させる工程で、鰹節菌という麹カビを利用して発酵させる。

【塩辛】魚介の身や内臓を加熱し、一緒に塩漬けして発酵させたもの。

【酒盗】魚の内臓が原料の塩辛。マグロ、カツオ、タイ、シャケ、サンマなど、さまざまな魚で作ったものがある。

【このわた】ナマコの腸の塩辛。一匹のナマコからほんの少量しか採れない為、貴重。

【めふん】北海道で食べられる珍味。オスのシャケの中骨に沿って付いている血腸を使って作る塩辛。

【くさや】伊豆諸島で作られる、魚類の干物。繰り返し魚を漬けるうちにうま味が溶け出して発酵した「くさや液」に、アジやトビウオなどの魚を漬け込み、天日干ししたもの。

【へしこ】(※3)主に福井県の郷土料理。サバやイワシ、フグなどを塩漬けにし、さらにぬか漬けにしたもの。
※3 斎藤勝裕 著『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』(ペレ出版刊)P.28

【鮒寿司(ふなずし)】滋賀県の琵琶湖で摂れるニゴロブナを塩漬けにし、炊いたご飯を重ねて漬けて発酵させたもの。

【飯寿司(いずし)】北海道をはじめ、北国で作られる郷土料理。ご飯と、ハタハタやシャケ、ニシン、ホッケなどの魚、ニンジンやキャベツなどの野菜、そして麹を混ぜて漬け込み発酵させる。

【ハタハタ寿司】秋田県の郷土料理。ハタハタを用いた飯寿司(いずし)の一種。

【かぶら寿司】石川県に伝わる。塩漬けしたカブに、塩漬けしたブリを挟み、米麹と一緒に発酵させた熟鮨(なれずし)の一種。

発酵乳製品

【チーズ】牛や羊、山羊などの乳を原料とし、乳酸菌や酵素を加えて発酵させる。「人類が作った最も古い食品」と言われている。

【ヨーグルト】牛や羊、山羊などの乳を、乳酸菌群で発酵させて作ったもの。

世界の発酵食品

【シュールストレミング】塩漬けにしたニシンを缶のなかで発酵させた、スウェーデン料理。「世界で一番臭い食べ物」と言われている。

【ピクルス】塩漬けにした野菜を、酢や砂糖などを混ぜた漬け液に漬け込み、乳酸発酵させる。アメリカでは小キュウリ、イギリスではタマネギを使うことが多い。

【ナンプラー】タイの魚醤。小魚を塩漬けにしたあとに発酵させ、上澄み液を熟成させて作る。エスニック料理によく使われる。

【ザワークラウト】ドイツでは保存食として親しまれている漬物。千切りキャベツを塩漬けにしたあと、乳酸発酵させる。ソーセージや肉料理のつけ合わせとして愛されている。

【アンチョビ】イワシを塩漬けにして発酵させたあと、オリーブオイルなどと漬けこむ。イタリア料理によく使われる。

【インジェラ】イネ科のテフという穀物を粉にして、水で溶いて発酵させたエチオピアの主食。焼いて、肉や野菜などを包んで食べる。酸味が強いのが特徴。

【メンマ】タケノコを土の中で乳酸発酵させて作る。もとは、中国南部や台湾で用いられていた食品。

【臭豆腐(しゅうどうふ)】納豆菌と酪酸菌によって発酵させた漬け汁に、豆腐を漬け込んで作る。中国南部、台湾、香港などの地域で食べられている。

【ホンオフェ】韓国料理。エイの刺身や切り身を壺に入れて発酵させたもの。強いアンモニア臭で、「世界で二番目に臭い食べ物」と言われている。

【テンペ】大豆をクモノスカビで発酵させる、「インドネシアの納豆」。健康食材として注目されている。

【ナタデココ】ココナッツウォーターに砂糖、水、酢を加えて混ぜ、酢酸菌を加えて発酵させる。その際にできる膜状の部分を蒸らして作る。

【キビヤック】アザラシの腹のなかにウミツバメやツノメドリなどの海鳥を詰め込み、土の中で2~3年発酵させる。グリーンランドのカラーリット族やカナダのイヌイット族に慣れ親しまれている。

【ベジマイト】さまざまな野菜をイースト菌によって発酵させた、塩辛い茶色のペースト。「世界一まずいジャム」と言われるが、オーストラリアでは国民食となっている。ビール酵母のような香りが特徴。

その他

【生ハム、サラミ】熟成の過程で乳酸発酵が行われる。

【べったら漬け】塩漬けした大根を、甘酒で漬け込んで発酵させる。江戸時代から親しまれる東京名物。

【ぬか漬け】米ぬかに塩を加え、乳酸発酵させたぬか床に、野菜などを漬け込んで作る漬物。

【豆腐餻(とうふよう)】沖縄県で愛される発酵食品。島豆腐を米麹や紅麹、泡盛によって発酵熟成させる。

まとめ

私たちの食生活には「発酵食品」、そして「そこに含まれている菌」が当たり前のように存在します。
ただ、発酵食品は、人によって好みが分かれるものであることも事実です。

「自分にとって食べやすい食材」「自分にとって摂りいれやすい菌」を選んで、発酵食品を取り入れていきましょう。

<参考文献>
・斎藤勝裕 著『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』(ペレ出版刊)
・小泉武夫 編著『発酵食品学』(講談社サイエンティフィック)

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