日本の食卓に欠かせないかつお節
削り器で薄く削ったかつお節は、出汁や佃煮、冷や奴などのトッピングなど、いろいろな和食に使われています。今日では削り器のある家庭は少なくなりましたが、日本の食卓に欠かせない食品のひとつです。
もともとは柔らかいカツオの身が、どうやってかつお節に変化していくのでしょうか?
4~6カ月もの時間がかかるかつお節づくり
かつお節の発酵工程には長い時間がかかります。
まず、3枚におろしたかつおの身を煮てから、薪でいぶしてじっくりと数日をかけて乾燥させます。これを荒節といいます。
さらに天日で数日乾かした後、湿潤で麹菌がたくさん生息するカビ付室に入れます。するとカビがかつおの肉に菌糸を伸ばし、約2週間でカビが表面を覆います。これが1番カビです。
表面の胞子をはらい、再度天日干しをしてからカビ付室に戻し、2番カビ、3番カビ、4番カビとカビを付けていきます。 最後に十分乾燥させて、ようやくかつお節が完成します。この間4~6カ月ほどかかります。
なお、燻してカビを付ける前のものを「荒節」、その後カビ付けしたものを「枯節」と呼びます。
発酵食品としてのかつお節は「枯節」を指し、カビ付けを3~4回以上繰り返した「本枯節」ほど、
かつおの風味がより豊かになります。
世界で類を見ないほど硬い食品
かつお節をつくる麹菌が生育するには、たくさんの水分が必要です。
荒節の表面に付着した麹菌はかつおの生身に含まれる水分を吸い上げます。
2番カビ、3番カビと進むにつれて水分がどんどん吸い取られ、その結果、他の微生物は繁殖できなくなるほど乾燥します。そのためかつお節は保存性が高いのです。
手間ひまかけて製品になったかつお節は、世界で一番硬い食品として知られています。互いにたたくと「カーン」と乾いた良い音がします。
日本の「うま味」文化を支えるかつお出汁
かつおの生身ですでに約25%含まれているたんぱく質は、かつお節に変化することで増え、なんと77%にも達します。
必須アミノ酸を含むたんぱく質が豊富なかつお節は、米が主食の日本人にとって欠かすことのできないたんぱく源でした。
また、かつお節で出汁をとるという方法は日本だけのものです。
うま味はイノシン酸とアミノ酸類などを主体にさまざまな味わいが折り重なって生まれます。上品で奥深いかつお節の出汁は、日本人の味覚に「うま味」という独特の食味をもたらしました。かつお出汁はこんぶ出汁とともに日本の食文化を支える役割を担っているのです。
※記載内容は特定の商品または発酵食品についての効果効能を保証するものではありません。