食材を漬けこむことで、無理なく簡単につくれる発酵料理を“発酵王子”こと伏木暢顕氏に教えていただきました。微生物が食材を分解してくれることで体にもやさしく、自然な旨味や甘味が美味しいレシピです。
“発酵王子“ 伏木暢顕(ふしきのぶあき)
1975年東京生まれ。醸造料理人であり、日本の発酵食文化伝承人。発酵教室の講師としても活躍し、現在の「発酵食」、「麹」人気の立役者の一人。イタリアン、和食など料理の道を極めること20余年、食材を全く別のものにかえてしまう、不思議な麹の力に惚れ込み、独学で麹について学ぶ。メディア出演も豊富で、「発酵王子」として親しまれている。
しめさばのなれ寿司風
しめさばを甘酒で発酵させて、なれ寿司風に仕立てました。ご家庭でつくるときは、しめさばからつくると大変なので、市販のしめさばを利用するのがおすすめです。食品保存用のファスナー付きバッグで、漬けると簡単です。冷蔵庫で1~3日漬けると、しめさばの酸味と甘酒の甘味がたまらない逸品に仕上がります。しめさばの代わりに、酢締めのこはだやママカリでも美味しくいただけます。
しめさばのなれ寿司風
- 〆鯖(市販) 1枚
- 甘酒 大さじ2
- お好みの根菜(大根・蕪・人参など) 適宜
- ①食品保存用のファスナー付きバッグに〆鯖を入れ、甘酒を薄く満遍なくぬる
- ②①にお好みで刻んだ根菜などを一緒に漬け込み、空気を抜いてファスナーを閉め、冷蔵庫で1日~3日ねかせる
- ③お好みで生姜や柚子胡椒や唐辛子や山葵やすだちなどでアクセントをつけても良い
豚肉の西京漬け たまりソース
白味噌と白醤油で漬けこんだ豚肉をソテーしたメニュー。豚肉の下に粒マスタードで和えた野菜と、濃厚なたまりしょうゆに赤ワインを加えてつくったソースが相まって、深みのある上品な味が楽しめます。豚肉は、冷蔵庫で1日ほど漬けてください。麹によって脂質とタンパク質が分解され、甘いとさえ感じるほどになりますよ。
豚肉の西京漬け たまりソース
- A.
豚ロース肉(とんかつ、ソテー用) 2枚
白味噌 大さじ3
白たまりしょうゆ 小さじ2
- B.
ほうれん草 1/2束
お好み野菜付け合せ(マッシュルーム・ヤングコーン・いんげんなど) 適宜
粒マスタード 大さじ1
- C.
赤ワイン 大さじ4
たまりしょうゆ 大さじ2
塩 ひとつまみ
- ①豚肉は筋切りし塩を少量振り15分置く
- ②豚肉はさらしorキッチンペーパーに巻き、その上からⒶの合わせた味噌を両面にぬる
- ③食品保存用のファスナー付きバッグに入れた②を冷蔵庫で1日ねかす
- ④Ⓑのほうれん草を湯がいて冷水で冷まし、水気をよく絞ってから粒マスタードとあえる
- ⑤フライパンに油を少量入れ③の片面を焦げる寸前まで中火で焼き、ひっくり返して火を止め、Ⓑの葉物以外の野菜を入れ、蓋をして2~3分待つ
- ⑥肉と野菜を取り出し、Ⓒを入れとろみが出るまで煮詰める
- ⑦お皿にソース、野菜、肉の順番に盛り付ける
発酵さんま飯
通常、焼いてから、お米と一緒に炊いてつくるさんま飯。でも今回ご紹介するのは、生のさんまを甘酒と日本酒で漬けて炊き込むレシピです。冷蔵庫で半日~1日さんまを漬ければ、甘酒の発酵パワーと日本酒のアルコールが、魚の臭い物質をキャッチ。魚臭さも気になりません。また、一緒に炊き込む昆布は出汁がらを使って。出汁がらであれば、炊き込んでも苦みが出ず、ご飯のまろやかさがアップします。
発酵秋刀魚めし
- A.
秋刀魚 1匹
甘酒 大さじ2
日本酒 大さじ2
- B.
米 3合
出汁 600ml
出汁ガラの昆布 10㎝×10㎝
- ①秋刀魚は内臓を抜き、塩を振って30分置く
- ②秋刀魚はさらしorキッチンペーパーで巻き、Ⓐの甘酒と日本酒を混ぜたものを全体的にぬる
- ③食品保存用のファスナー付きバッグに入れた②を冷蔵庫で半日~1日ねかす
- ④米を研ぎ、土鍋or炊飯器に入れ、出汁・秋刀魚・昆布の順番に入れる
- ⑤④を炊く。お好みで木の芽などをまぶすと尚良い
※記載内容は、取材対象者及び筆者の個人的な見解であり、特定の商品または発酵食品についての効果効用を保証するものではありません。