空前の将棋ブームで将棋ファンの裾野がぐっと広がった昨今。盤上の戦いだけではなく、「将棋めし」と呼ばれる、対局中の出前で何を頼むかというような、棋士の「食」までもが注目を集めています。
棋士は、普段何を食べて、熾烈な戦いの場に臨んでいるのでしょう。彼らの「食」にこそ、強い集中力や鋭い判断力の秘訣が隠れているかもしれません。
気鋭のプロ棋士・都成竜馬さんに、活躍を支えてくれている両親や宮崎の実家についてお伺いしました。
都成竜馬(棋士)
となり りゅうま
1990年宮崎県生まれ。プロ棋士。2013年に奨励会員として初の新人王戦優勝という快挙を遂げ、2016年にプロ棋士としてデビュー。2018年の竜王戦決勝トーナメントで藤井聡太七段との対局でも注目を浴びた、関西将棋界を背負って立つ気鋭棋士。実家は牛乳・乳製品などの製造・販売を営む「白水舎乳業」。
発酵乳製品とともにあった少年時代
都成さんの両親は、宮崎県宮崎市で牛乳・乳製品の製造・販売をする「白水舎乳業」を営んでいます。
「実家は、今ではソフトクリーム事業や乳製品開発もしていますが、もともとは地元密着型の牛乳屋さん。だから、子どもの頃から牛乳や乳製品には慣れ親しんでいました。慣れ親しみすぎて一時期は牛乳が苦手になったくらいです。だって、学校の給食で自分の家の牛乳が出てきて、家に帰っても牛乳。和食の献立でも、お茶ではなくて牛乳が出てくるんですよ(笑)」
当時も今も変わらず大好きなのが、チーズやヨーグルトといった発酵食品。
「外食の時にピザやチーズがのっているメニューがあるとつい頼んでしまいます。ヨーグルトは朝食代わりに食べることが多いです。プレーン以外にもフレーバーを選んだりして、いろいろなメーカーのヨーグルトを試すのが楽しいです。自分の性格的に、ひとつに決めるという感じではないので(笑)。あと、実家で作っている甘酒『百白糀(ひゃくびゃくこうじ)』を飲んでから出かけたりもします」
戦いの前に「宮崎牛乳×米麹」を
百白糀(ひゃくびゃくこうじ)とは、宮崎生乳と米麹だけでつくられた白水舎乳業オリジナルの甘酒乳飲料。甘酒の栄養分と牛乳のマイルドな味わいが特長の乳製品で、開発に3年以上の年月をかけたという自信作なのだとか。
「最初の頃から試作品を飲まされてきたので、開発の苦労は身をもって知っています。栄養価が高い『体にいい飲み物』であるだけではなく毎日飲みたくなるような『美味しい飲み物』にするために試行錯誤していました。今では自然な甘さがあって飲みやすい味になりました」
プロになって2年、「棋士として、健康を意識しなくてはと思うようになった」と都成さんは言います。長時間の対局で、相手と将棋盤に向き合ったまま高い集中力を維持するには、体づくりが必要だと実感しているそうです。
「百白糀(ひゃくびゃくこうじ)は、親が『これ飲んで行けば勝てるから!』とたくさん送りつけて……あっ、勧めてくれるので(笑)。これ一本で手軽に栄養補給できるので、時間のない朝も助かっています」
熾烈な棋士人生を乗り越えられてきた秘訣は、親元を離れて長い年月が経った今なお、家族の力強い応援と、宮崎の自然の恵み豊かな発酵乳製品の支えがあるからこそ、かもしれません。
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棋士はどんな「将棋めし」を食べているのでしょう?
次回は、強靭な集中力を支える食事についてお聞きします。
※記載内容は、取材対象者及び筆者の個人的な見解であり、特定の商品または発酵食品についての効果・効用を保証するものではありません。