寝かせ発酵玄米はダイエットや健康に効果がある?
<目次>
ダイエットや健康に関心のある人は、玄米の栄養的な素晴らしさをよくご存知です。しかし、普通の白米のごはんに比べて食べにくいため、挫折してしまう人が少なくありません。
ところが、玄米を数日寝かせて発酵させると、パサパサだった玄米がモチモチになってとても食べやすくなるのです。また、栄養価もパワーアップし、ダイエットのサポート食品として評判になっています。これが、「酵素玄米」、または単に「発酵玄米」などと呼ばれるものです。
これから、玄米を数日寝かせて発酵させた寝かせ発酵玄米がどのようにダイエットにつながるのか、寝かせ発酵玄米の栄養成分、栄養価などの栄養情報を基に検討してみます。
寝かせ発酵玄米とは? 酵素玄米とは違うもの?
玄米を数日寝かせて発酵させたものには、前述の通り、他にもいろいろな呼び方がありますが、本記事では「寝かせ発酵玄米」という呼び方を採用して進めていきます。炊き上がった玄米を数日間、寝かせて発酵させていくので、この呼び方がわかりやすいのではないでしょうか。
玄米を白米と同じように炊飯器で炊き上げると、パサついて食べにくいですよね。ところが、炊き上がった玄米を炊飯器などで3日間ほど保温しながら寝かせると、モチモチ感が出てとても食べやすくなります。これが寝かせ発酵玄米。炊くときには、塩と小豆を加えます。
白米は胚芽やヌカの部分が除去(精米)されて出来上がり、玄米は精米される前の米なのでヌカや胚芽がついた状態です。玄米が食べにくいと言われる原因であるヌカや胚芽にたくさんのビタミン、アミノ酸が含まれています。
炊いた玄米を保温しながら酵素を活性化(発酵)させることで食べやすくなり、うま味成分、栄養成分がさらにアップします。
寝かせ発酵玄米がもたらす健康への役割とは?
玄米は白米よりもビタミン、ミネラルや食物繊維などがたっぷりと含まれ、完全栄養食品とまで評されています。ただ、玄米は非常に食べにくいため、玄米食を続けたいという思いはあってもなかなか続かず、思うように玄米のメリットを感じることができません。
一方、寝かせて発酵させた玄米であれば、モチモチとしておいしくなっているので、発酵させていない玄米よりも食べやすく、続けることができます。便秘解消、スキンケア、生活習慣病予防……その他にも魅力がたくさんあります。また、特に注目なのが、GABA(ギャバ)によりストレスや不眠が緩和されることが期待されています。GABA(γ-アミノ酪酸(ガンマ アミノらくさん))は、ヒトの体の中にある、神経伝達物質のひとつです。ストレスや脳の興奮を鎮める働きや、血圧を下げる働きが報告されており、いわゆるトクホ(特定保健用食品)にも採用されています。
ストレスの多い現代社会では、寝かせ発酵玄米が有益な食品となりそうですね。
寝かせ発酵玄米とダイエット
寝かせ発酵玄米で一番注目を浴びているのがダイエットとの関係。なぜ寝かせ発酵玄米ダイエットをサポートする食品であると考えられているのでしょうか?
玄米と白米はカロリーがほとんど一緒です。玄米も食べすぎれば当然、太ってしまいます。しかし、玄米にはカロリーにならない部分であるヌカや胚芽に、たくさんの食物繊維が含まれているため、腸内環境の改善をサポートします。
特筆したいのはGI値(食べた後の血糖値の上昇度合い)が白米よりも低いことです。玄米のカロリーは白米と同じでもGI値が高くならないため、脂肪を合成するインスリンの量を白米よりは抑えられると言われています。また、玄米に含まれるビタミンB群は、糖質や脂質の代謝を促進する働きがあると言われています。
以上のような理由で、寝かせ発酵玄米はダイエットのサポートに適した食品の一つと期待されているようです。また、炊くときに小豆を加えることで、食物繊維、ビタミンB群、ポリフェノールなども同時に摂取することができます。
食物繊維の効果とは
玄米は食物繊維が豊富な食品です。そもそも食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。玄米は不溶性食物繊維が100gあたり1.2g、水溶性食物繊維が0.2gと不溶性食物繊維が特に多いのです。ちなみに白米は100gあたり不溶性食物繊維が0.3g、水溶性食物繊維は0gなので、どれだけ多いか分かりますね。
では、玄米に含まれる食物繊維がどのような効果をもたらすのか、説明します。
おなかの調子を整える
食物繊維は大腸まで届き、ビフィズス菌や乳酸菌などのエサになります。ビフィズス菌や乳酸菌は善玉菌と呼ばれ、数が多くなればなるほど腸内環境を整えます。
玄米に多く含まれる不溶性食物繊維は、胃腸内で水分を吸ってふくらむ性質を持つことから「排便回数を増やす」「腸の有害物質を吸収して排出する」といった効果が期待できるのです。
便秘が改善されるとダイエット効果も期待できます。代謝がアップしたり、栄養素が吸収されやすくなったりするので、肌にも良さそうです。
また、玄米に含まれるビタミンB群やビタミンEも便秘解消に役立ちます。
- ビタミンB群…自律神経を整える効果があり、腸のぜん動運動を活発にする
- ビタミンE…血流の促進や自律神経を整える効果がある
食物繊維とビタミン類の両方で便秘解消にアプローチできる、スーパーフードなのです。
生活習慣病や3大疾病の予防に役立つ
腸を元気に保つことは、健康維持に欠かせません。大腸がんの発症を予防するのはもちろん、一見関係がなさそうな心筋梗塞や脳卒中、2型糖尿病、胃がん、乳がんなどの予防にも役立つとされています。ただし、これらの効果を期待するなら、1日24g以上食物繊維を摂取しなければなりません。
玄米以外では、以下のものに食物繊維が多く含まれています。
豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類などにも多く含まれています。食品で見ると、そば、ライ麦パン、しらたき、さつまいも、切り干し大根、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、糸引き納豆、いんげん豆、あずき、おから、しいたけ、ひじきなどは、1食あたり摂取する量の中に食物繊維が2~3gも含まれています。
食物繊維の必要性と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
現代の日本人は、残念ながらどの年代においても食物繊維が不足しています。玄米をはじめ、食物繊維が豊富なものを毎日の食事に摂り入れることで、効率よく食物繊維を摂取できそうですね。
腸内環境についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
腸活ってなに?|基礎知識から腸が喜ぶレシピ集まで【腸活完全ガイド】
寝かせ発酵玄米のおいしい作り方
材料)
- 発芽玄米 4合(600g)
- 小豆 50g
- 塩 3g
- 水 900ml
作り方)
➀ボウルの中に発芽玄米と小豆を入れ、手早くすすぎながらとぎ、水を換えます。この一連の作業を3〜4回繰り返します。
②➀を炊飯器(内釜)の中に移して、水900mlを入れます。その後、塩3gを加えて、全体をかき混ぜ、炊き始めます(玄米モードで※)。
③炊き上がった玄米は保温状態のまま毎日1回、優しくふんわりとかき混ぜます。
④寝かせ発酵玄米のできあがり。3日目ぐらいからおいしくなり、栄養価も増してきます。
※玄米モードのない炊飯器の場合、玄米をといだ後、一晩(6時間程度)水につけてから、炊き始めます。
●注意点
・7日以内に食べきりましょう。
「発芽玄米」は、インターネット通販などで購入するのが手軽でしょうか。もちろん専門店や一部のスーパーなどでも入手できます。通常は商品名に「発芽」とあるので、選ぶのは難しくはありません。
そのほか、玄米には黒米、赤米、古代米、雑穀ブレンド、農薬不使用、新米、コシヒカリやひとめぼれなどといった銘柄……などなど、お米の種類にこだわったものも販売されています。いろいろ試すのも楽しそうですが、浸水時間が変わったり、作り方に多少の影響がある場合がありますのでご注意ください。
ちなみに、玄米専用の炊飯器も販売されています。もちろん普通の炊飯器や土鍋、圧力鍋でも炊くことができますが、やはり浸水や保温、熟成の時間管理に気を使う側面もあるので、これらを自動で管理してくれるようになっています。残念ながら実際の製品は、発酵日和編集部では未体験ですが、もし寝かせ発酵玄米に興味が出て、長く続ける場合には、検討されてはいかがでしょうか。
酵素玄米炊飯器『Labo炊飯器』 | 酵素玄米ごはんと発酵食のある暮らし 【酵素玄米Labo 公式】
「まずは試してみたい」という方には、お手軽な冷凍やレトルトの寝かせ発酵玄米も売られています。「酵素玄米」「発酵玄米」などのキーワードで検索してみると良いでしょう。こちらも黒米や古代米などなど、こだわりの製品がたくさんあります。楽しいですね。
健康に良いとわかっていながら食べにくかった玄米ですが、発酵させることで食べやすくなり、玄米の栄養をしっかり取ることができます。寝かせ発酵玄米を使うことで栄養のバランスを崩さずにダイエットのサポートが可能になるのは、うれしいですね。
炊くときに加える小豆の健康効果
玄米を炊くときに小豆を加えるのですが、味がよくなるという理由だけではありません。小豆を加えることで得られる2つの健康効果があるので、ご紹介します。
1.食物繊維の整腸作用
小豆は玄米と同様に、食物繊維が豊富な食べ物です。寝かせ発酵玄米に使う小豆の量は50gですが、50gに含まれる食物繊維はなんと7.6g。1回分に分けたとしても、約1.0gの食物繊維が含まれます。
2.ポリフェノールの抗酸化作用
小豆はポリフェノールを豊富に含むのも特徴。ポリフェノールは抗酸化作用をもち、元気な体を維持するのに役立ちます。抗酸化作用とは、体の中で増えた活性酸素を取り除く働きのこと。活性酸素が増えすぎると細胞を攻撃し、老化やがん、動脈硬化、免疫機能の低下などを引き起こすと言われています。この厄介な活性酸素を取り除く作用があるのはうれしいですね。
時間がないときはレトルトの発酵玄米
寝かせ発酵玄米が体にいいことはお分かりいただけたと思いますが、ネックなのが完成するまで時間がかかること。玄米が炊き上がってから3日程度待つ必要があるので、食べたいときにすぐ食べられません。また、家族がいる方は炊飯器を独占できないこともあるでしょう。そんなときは、レトルトの発酵玄米を利用してみてはいかがでしょうか。レトルトなら食べたいときに電子レンジで加熱すれば、すぐにできたての味が楽しめます。品質にもこだわって作られている商品もあり、おいしい発酵玄米がいただけますよ。いざというときのためにストックしておくのもおすすめです。
発酵玄米はアレンジもOK!おすすめレシピ3つ
発酵玄米をそのまま食べてもおいしいのですが、たまにはアレンジも楽しんでみましょう。簡単に作れるおすすめのアレンジを3つご紹介しますね。
1.雑炊
手始めに、手軽にできる雑炊からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。作り方は出汁に発酵玄米を入れ、塩や醤油などで味を整えたら、溶き卵を入れて火を通せば完成。発酵玄米のしみじみとしたおいしさが味わえ、朝食にもピッタリです。お好みで海苔をのせても。
2.枝豆と塩昆布・ツナの混ぜご飯
食感のある枝豆とうま味の強い塩昆布、たんぱく質がたっぷりなツナを混ぜたご飯です。作り方はボウルに発酵玄米を入れ、そこにさやから出した枝豆、塩昆布、水気を切ったツナを混ぜれば完成。ごまを追加してもいいですね。ツナはオイルフリーのものがおすすめです。
3.お好み焼き風
小麦粉はGI値が高く、ダイエット中は気になってしまいます。そこで小麦粉の代わりに発酵玄米を使います。作り方は、茶碗半分くらいの発酵玄米に卵1個を混ぜ、適量のキャベツと顆粒だし(または削り粉)を合わせてよく混ぜます。熱したフライパンで両面をこんがり焼いたら、お好み焼きソースと青ネギをトッピングして完成。もちろん、豚肉をのせて焼いてもOKです。
発酵玄米の保存
発酵玄米は7日以内に食べきるのがベストですが、食べきれないこともあるでしょう。そんなときは保存をしましょう。発酵日和編集部がおすすめする保存方法は、冷凍保存です。冷蔵保存庫でも構いませんが、玄米は冷えるとパサつきが気になります。発酵玄米特有のモチモチ感が損なわれ、風味も落ちてしまうので、冷蔵保存する際は早めに食べてしまいましょう。
さて、冷凍保存の方法ですが、できたての発酵玄米を小分けにしてラップに包むだけ。解凍する際にムラができないよう、均一の厚さにしておくのがコツです。解凍は電子レンジで加熱する、もしくは蒸すことで、おいしく仕上がります。
ちなみに、7日目ギリギリに冷凍保存するより、できたての発酵玄米をすぐに冷凍するほうが食感や風味がキープできますよ。
※記載内容は筆者の個人的な見解であり、特定の商品または発酵食品についての効果効用を保証するものではありません。
- 参考文献
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- 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl - 食物繊維の必要性と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html - 抗酸化物質 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
- 食品成分データベース