発酵黒生姜を知っていますか? 黒生姜の特長とデメリット
昔からからだを温める食品としてよく知られる生姜ですが、最近では発酵黒生姜といったものも見かけるようになりました。黒生姜とはどんな食品なのでしょう? 一般的な生姜との違いは? さらにデメリットについても知っておきましょう。
「発酵黒生姜」の黒生姜は普通の生姜とどう違う?
最近よく見かけるようになった発酵黒生姜。
粉末化していろいろな用途に使用しやすくした黒生姜パウダーや手軽さを売りにした発酵黒生姜湯、日常の食事に取り入れやすい発酵黒生姜スープといった製品も見られます。
この黒生姜、一般的な生姜とどう異なるのでしょうか。
生物学上の分類が異なる
一般的な生姜はショウガ科ショウガ属である一方、黒生姜はショウガ科バンウコン属の植物です。
つまり、黒生姜は生姜に似たウコンであると言うことができます。
また、生姜の原産地ははっきりしていませんが、黒生姜はタイからラオスにかけての地域が原産地です。
色が異なる
パッと見は一般的な生姜とあまり変わりませんが、中は黒に近い紫色をしているのが黒生姜です。
栄養価が異なる
アミノ酸やミネラルなどの栄養価が非常に高く、とりわけフラボノイドが豊富であることを特長としているのが黒生姜です。
「一般的な生姜をパワフルにした感じ」と表現してもよいかもしれず、生姜とにんにくを足して2で割ったイメージに近いものがあると言えるでしょうか。
実際、原産地では古くより血行促進、滋養強壮、胃腸保護、抗酸化、抗炎症などの民間療法薬として黒生姜が用いられてきたという歴史があります。
「黒生姜×発酵」でさらにパワフル!?
黒生姜自体が既にポテンシャルが高い食品であると考えられますが、それをさらに発酵させて発酵黒生姜とすることの利点は何でしょうか。
一つには、発酵することにより、生姜の成分そのものの働きに発酵食品としてのメリットも加わると考えられることが挙げられます。
そしてもう一つの利点は、からだを温めるという点での期待が一層高まるということです。
生の生姜に多く含まれるジンゲロールという成分は、加熱・乾燥によりショウガオールという成分に変換されますが、このショウガオールには体温を上げる働きがあるとの研究結果が発表されています。
発酵の過程で加熱・乾燥が行われれば、ショウガオール含有量が増え、結果的に体温を上げる働きが高まることになるというのです。
さらに、黒生姜には、体熱を発生させる褐色脂肪組織を活性化させ、エネルギー消費量を上げる作用があることも研究により明らかとなっており、太りにくいからだ作りへの活用が期待されています。
発酵黒生姜でなければダメ? 黒生姜の泣き所
一般的な生姜に比べ、栄養価の面、期待される効果の点で優れているように思われる黒生姜・発酵黒生姜ですが、その泣きどころは外国産のものがほとんどであること、そして入手しやすいとはいえない状況です。
実際、日本国内での黒生姜の栽培は極めて限られており、そのため国産にこだわる場合は特に、決して入手しやすいとはいえません。(国産であるかどうかについては、製品に記載された表示や製品紹介サイトの情報などを参照するとよいでしょう。)
日常的に生姜を摂取することを考えるのであれば、黒生姜に限定するのではなく、一般的な生姜も上手に取り入れるのがお勧めです。
明代中国の薬学書である『本草綱目(ほんぞうこうもく)』には、「姜能疆御百邪(生姜は百邪(=万病)をよく防御する)」)と書かれているほど。
黒生姜が優れた食品であることは確かですが、一般的な生姜もまた、健康的な生活を意識する人にとり十分に魅力的な食品であるといえるでしょう。
輝く毎日のための生姜、黒生姜、そして発酵の力
古来より、生姜は漢方薬の生薬としても欠かせない存在です。
そして同時に食品でもあり、過剰に食べるのでない限り副作用の不安がほとんどないといえるのも生姜の特長。
つまり、生姜はほぼノーリスクで、そのさまざまな好ましいはたらきを享受できる食品であると言えます。
発酵食品もまた、そのリスクの低さにおいては生姜同様、安心して日常的に食べることのできる食べ物です。
英語で生姜を意味する言葉”ginger”には「元気づける」といったような意味もある通り、生き生きとした毎日を送りたいという気持ちに応えてくれる食品として、生姜・黒生姜・発酵させた生姜を日々の食卓に取り入れたいですね。
※記載内容は、筆者の個人的な見解であり、特定の商品または発酵食品についての効果効能を保証するものではありません。
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