発酵が生み出す独特の香りとうまみ
塩辛は、生の魚介類の身や内臓に高濃度の食塩を加え、酵素の働きで発酵・熟成させた発酵食品です。
発酵の過程で魚の生臭みは無くなり、濃厚で独特な香りとうまみが出てきます。そのうまみは、自己消化酵素の働きで原料がアミノ酸に分解されて熟成されることから生まれます。香りの成分は乳酸菌が作り出します。
塩漬けで魚介の長期保存が可能に
生のままでは鮮度が保てない魚介類は、できるだけ長く保存できるように、さまざまな加工の方法が編み出されてきた食材です。塩漬けにすることで塩分濃度が高くなり、食中毒菌などの繁殖を抑えて長期保存が可能になる魚介類の塩辛は各地で発展してきました。日本の他、中国や朝鮮半島をはじめ東南アジア地域やヨーロッパでも食されています。
塩辛の種類あれこれ
最もポピュラーなのはイカの塩辛。この他にも、鮭の腎臓を原料にした「めふん」、なまこの腸を使った「このわた」、あゆの内蔵でできた「うるか」、かつおの内蔵を塩漬けにした「酒盗」など、日本各地で古くから、さまざまな塩辛が作られています。
酒盗はおいしさのあまり酒が進みすぎて「盗まれるように酒がなくなる」という言われからついたネーミングだと言われています。
日本酒の肴としてちびちびといただいたり、白飯にのせてごはんのお供にしたり。いずれも食事や飲酒が進む珍味です。
調味料としても使える塩辛
塩辛といえば珍味というイメージが強いかもしれませんが、塩辛は古くから野菜の煮炊きに使われるなど、調味料としても活用されてきました。うまみ成分をたっぷりと含んでいるので、鍋料理の隠し味に使うと味わいに深みが増すほか、洋風料理にもアレンジができます。
ちなみにイタリアの「アンチョビ」はカタクチイワシの塩辛です。アンチョビの代わりに塩辛を加えたパスタソースなどもおすすめです。
減塩タイプの塩辛も
発酵によって魚介類のうまみを引き出しながら長期保存ができる塩辛ですが、ネックになるのは塩分の高さ。そこで最近では、塩分を低くした減塩タイプの塩辛が増えています。
発酵期間が短く、調味料によって味付けをすることが多い減塩タイプは、長期保存が難しいため賞味期限が短めに設定されています。開封後は冷蔵保存して、早めに食べきりましょう。
※記載内容は特定の商品または発酵食品についての効果効能を保証するものではありません。