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発酵食品事典

酢(す)|酢っきりさっぱり 疲労回復効果に期待大!

酢漬けにした野菜

お酢は世界最古の発酵調味料

さっぱりとした酸味のお酢は、酢の物やお寿司、酢漬けなどの味付けに使われる和食にお馴染みの調味料です。
味わいや風味のよさに加え、疲労回復や食欲&スタミナ増進など健康効果の高い調味料としても知られています。

その起源は古く、紀元前5000年の古代バビロニアで干しブドウやナツメヤシからお酢をつくっていたと記録が残っています。その後、世界各地でお酢は醸造され、活用されてきました。人の手による最古の発酵調味料。それがお酢なのです。

日本に渡ってきたのは4世紀後半ごろ。しょうゆや味噌より300年ほど早く、中国から酒づくりとともに伝来しました。
和泉の国(現在の大阪府南部)が醸造の中心地だったため「和泉(いずみ)酢」として知られ、次第に日本各地に技法が広がったと伝えられています。

切っても切れないお酢とお酒の関係

そんなに昔から食されてきたお酢ですが、どうやってつくられているのでしょう?
醸造酢は穀物や果実をまずお酒に醸造し、そこへ酢酸菌を加え、発酵させてつくります。つまりお酢はお酒からできているのです。

多くの微生物はアルコールのなかで殺菌作用のために死滅してしまいます。しかし、酢酸菌はアルコールの中でこそ活発に働き、お酒をお酢へと変化させていきます。

お酢のことを英語で「ビネガー(vinegar)」と言いますが、その語源はフランス語の「ヴァン(vin)」=(ワイン)と「エイグル(aigre)」=(酸っぱい)に由来。多くのお酢がお酒からつくられるため、お酒とセットでうまれたお酢が世界各地に存在します。
例えば日本の米酢をはじめ、フランスのワインビネガーやシャンパンビネガー、イギリスの麦芽酢(モルトビネガー)などなど。ちなみにワインビネガーをさらに熟成させたものがバルサミコ酢です。

お酢パワーが疲れにくいからだづくりにグッドジョブ!

お酢には、さまざまな健康効果が期待されています。

疲労回復効果はそのトップバッター。
お酢には乳酸などの疲労物質を分解し、食べ物をエネルギーに効率よく変えるのを助ける働きがあります。
「疲れたな」と思ったら、お酢と、エネルギー源になる糖質、糖質のエネルギー代謝を促すビタミンB1を一緒に摂取すると、疲労回復がスピードアップ!

また、お酢の成分が腸内で悪玉菌を減らし、お酢に含まれるグルコン酸が善玉菌のエサになることから腸内環境を整える効果が期待できます。
腸の血流がよくなると便秘は解消され活性酸素の発生が抑えられます。その結果腸内環境が整うと疲労物質が排出されやすくなり、疲れにくくストレスに強いからだがつくられるようになります。

その他、血管拡張作用による血行促進効果や、だ液の量を増やして消化吸収を助ける働き、さわやかな酸味が食欲を増進させる効果、肥満防止効果など多くの機能が期待されており、お酢は調味料の域を超えた健康食品であると言えます。

腕を伸ばす女性

お酢の上手な扱い方

お酢は酸味が強く、摂りすぎや空腹時に摂取すると胃に負担がかかるので要注意。食後や食事中に、1日大さじ1~2杯の適量を守って、少しずつ摂ることが大切です。

家庭で日常使いされるお酢ですが、意外と知られていないのがお酢の扱い方。特に、柿酢のように手づくりしたお酢は、長い間常温で置いておくと、酢酸菌がさらに発酵し、熟成が進んでしまいます。
長期保存するには、酢酸菌の発酵を抑えることがポイント。
気温が30℃前後になると菌が繁殖しやすくなるので、夏場は冷蔵庫に入れるといいでしょう。
また、定期的に瓶の底をゆらしても、菌の繁殖を抑えることができます。

使い分けて楽しみたいお酢のバリエーション

米酢、柿酢、粕酢、香酢、ブドウ酢、シェリー酢などなど。種類の多彩さは、お酢の魅力のひとつ。
まろやかな米酢は和食に、さわやかなリンゴ酢やワインビネガーはドレッシングに、コクのある黒酢は中華料理にといった具合に、各々の特性を活かせば、料理の風味が広がります。

最近では、お酢を手軽に楽しめる「飲む酢」も人気です。
作り方は簡単! リンゴ酢や黒酢などに、お好みでハチミツやシロップで甘味を加え、ミネラルウォーターや炭酸水で5~10倍に割ればOK。
すっきりさわやかな健康ドリンクのできあがりです。さらにフルーツを加えればビタミン類も補給でき、栄養価がアップ!
お酢特有のツンとした香りがある米酢や穀物酢を避け、フルーティーな果実酢やコクのある黒酢などを使うのがコツです。

お酢は日々を健康に、疲れ知らずに暮らすためのパートナー。
毎日少しずつ、おいしく手軽に、お酢の健康パワーを取り入れましょう。

※記載内容は特定の商品または発酵食品についての効果効能を保証するものではありません。

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